ブライン液(不凍液)は凍るのですか?
工場などの冷却配管でよく使われるブライン液(不凍液)。
ブライン液の配管工事をする場合、液を捨てるのがもったいない又は液を抜くのが大変といったことで、凍結工法が利用されています。
そこでブライン液は本当に凍るのかというご質問をよくいただきますので、どこまで凍るのかを検証してみます。
ブライン液には一般的にエチレングリコール(凝固点-12.6℃)又はプロピレングリコール(凝固点-59℃)が主体のものがあり、そこに防錆剤、防腐剤が添加されています。
今回はプロピレングリコールを使ってテストをしてみました。
使用するのは日曹商事株式会社製の『ナイブラインNFP』です。
ナイブラインNFPの原液液体はご覧の様にピンク色透明です。
ちなみに、エチレングリコールを主体とするブラインは青色透明です。
SGP50Aを使用します。
凍結開始します。
凍結が進むにつれて、圧力メーターが0 MPaよりも下がっていきました。
水分が入っていないことで、体積膨張よりも逆に収縮していきました。
40分後、凍結完了したと判断しました。
配管内部です。しっかり固まっています。
圧力をかけてみます。
加圧に使うのももちろんブライン液です。
3.0MPaは維持できました。
同様にSGP80Aでテストしてみます。
SGP80Aの配管にブライン液注入。
80分後凍結したと判断しました。
凍結容器前後の配管は、通常の水配管の時よりも長く霜が付きました。
凍結しても圧力の上昇はありません。
ブライン液を抜き取ります。
80A配管内です。
しっかり凍結できています。
こちらも3.0 MPaの圧力をかけても大丈夫です。
次にSGP 100Aでテストしてみます。
凍結状況です。
非常に穏やかな沸騰ですので、120分後、凍結完了と判断しました。
フランジを外す前に加圧試験をすると、凍結二次側の圧力計が上昇したので、凍り切らなかったと判断しました。
ブラインの凍結状況です。
あと2㎝ほど凍らなかったようです。
このテストではプロピレングリコールを主体とする、100%ブライン液は80Aまでは凍結させることができました。
通常、工場などの冷却配管の冷媒として使われるブライン液は、原液のまま使うことは少なく、水で希釈して使われることが一般的です。そこで徐々に薄めた場合、凍結させることができるのか調査してみます。
水で希釈し、ブライン75%溶液をSGP 100A配管を使ってテストします。
25%の水が入っているにも拘らず、二次側の圧力メーターは全く上昇しませんでした。
凍結開始120分が経過した時点で、加圧テストしてみます。
1.0MPaを30秒程維持していましたが、
途中からミシミシと音がし、圧力が抜けてしまいました。
引き続き加圧し続けると、
二次側の圧力メーターが上昇し始めたので、凍結したブラインが抜けてしまったと判断しました。
配管の中の様子を見てみると、真ん中に穴が見えました。
穴周辺はシャーベット状になっていました。
75%溶液は100Aだと中心にまで冷気が届かないと思われます。
更に希釈し、50%ブライン溶液を凍結します。
凍結開始20分で内圧が上昇し始めました。
SGP 100Aは50分で凍結完了です。
加圧テストをしてみます。
圧力も3.0MPa維持できました。
ブラインの凍結状況です。
SGP 150Aは60分で凍結完了です。
圧力も3.0MPa維持できました。
SGP 200Aは100分で凍結完了です。
圧力も3.0MPa維持できました。
SGP 250Aは120分で凍結完了です。
圧力も3.0MPa維持できました。
SGP 300Aのテスト状況です。
SGP300Aは150分で凍結完了です。
圧力も3.0MPa維持できました。
結論
以上の結果から3.0MPa維持できるブライン液の濃度及び配管サイズは以下の通りです。
今回はプロピレングリコール主体のブライン液を300Aまでのサイズについて検討しました。
350A以上の関係についてデータが必要な場合、又はその他の成分のブライン液で調査が必要な場合は弊社までご連絡ください。
試験の上、結果をお送りします。