凍結施工場所の直近での溶接は可能ですか?
凍結工法により配管内の水を凍結させ、配管部分を切断し、新規で溶接する場合、溶接による配管の温度上昇により、直近部分で凍結施工した配管内の氷が、解けだすことが懸念されます。
そこで温度上昇による影響、溶接作業への影響を調査してみました。
方法及び結果
①SGP配管(中身は空)を100Aの新規溶接施工中の個所から10㎝毎に温度計測し、温度伝播の状況を測定しました。
溶接にはアーク溶接、温度計測には非接触式温度計を用いました。
非接触式温度計による計測のため、若干の誤差はあるものの、溶接による熱伝播は、おおむね20㎝以内であることが分かります。
②配管内に水を充填し、液体窒素による凍結施工を行いました。
さらにその後、凍結個所から50㎝離したところを溶接し、溶接による配管温度の変化を測定しました。
試験①と同様、溶接個所から50㎝離したところでは、溶接の温度が伝播することはありませんでした。
凍結容器付近の温度はLo(測定下限以下)であり、凍結による配管の冷却伝播も20㎝程度(溶接位置より30㎝)でした。
よって、凍結個所から50㎝離せば、問題なく溶接作業は可能でした。
また圧力テストにおいても3.0MPaを維持していたことから、止水においても問題ないと思われます。(下写真参照)
SGP100Aの溶接状況
(a)溶接時の温度計測 | (b)配管内凍結状況 |
③SGP100Aの配管を凍結施工完了後、凍結容器から20㎝のところで溶接を行い、その際に起きる現象を調査みてみました。
溶接施工箇所から凍結容器までの距離、温度は以下の通りです。
その結果、凍結箱の外側に位置する配管内の氷が若干、溶けだすことが見られましたが、液体窒素の沸騰状況に変わりがないことから、凍結容器内にまで溶接の熱が伝わっていないと考えられます。
また、溶け出した水によって溶接作業に影響がでることはあり得ます。
フランジ溶接等をする場合、布などで溶け出した水を吸収するなどの対応を取ることも有効であると思われます。
SGP100Aの溶接個所直近での凍結状況
(a)溶接時の温度計測 | (b)配管内凍結状況 |
結論
①液体窒素による凍結工法施工個所直近の溶接は、溶接するところから50㎝離したところで凍結施工すれば、問題なく止水でき、溶接作業においても問題ありません。
②溶接施工箇所の直近で凍結施工をする場合においても、止水効果は十分保てますが、凍結容器外側の配管内の氷(下図参照)については若干ではありますが、溶けだしました。この氷解による水を除去すれば、溶接作業は問題ないと思われます。
この試験はSGP100Aの配管を用いて行ったものです。
またいかなる状況においても保証されるものではありません。条件により差があります。
これ以外の管種、口径について資料等ご要望ございましたら弊社までお問い合わせください。
追加試験など実施致します。